vorbeireiten+四格とsich vorbereiten auf+四格の違い【ドイツ語動詞】

2025年11月24日著者: Nana

ドイツの語学学校でドイツ語を学ぶとまず初めに「準備する」

sich vorbeireiten auf +四格

のほうが出てきます。だいたいB2~B1でしょうか。

私が勉強した教科書では、前置詞つきの目的語という文法のところでvorbereitenは、再帰代名詞(sich)と前置詞auf+四格をセットで覚えると習いました。

たとえば

Ich bereite mich auf die Prüfung vor.

私は試験の準備をする。

といった感じです。

先にsich vorbereitenが出てきたので、私個人的には再帰動詞のイメージが強いのですが、あとあとこのような表現もよく使われていることに気づきます。

Ich bereite die Prüfung vor.

私は試験準備をする。

Ich bereite das Mittagessen vor.

私は昼ご飯の準備をする。

日本語では同じ訳し方しかできません。

じゃー以下の文は同じ意味なん?

1)Ich bereite mich auf die Prüfung vor.

2)Ich bereite die Prüfung vor.

意味はどちらも「私は試験の準備をする」

しかし使うシチュエーションが違う。

1)は試験前に「試験勉強をする」という意味で使われます。たとえばゲーテのドイツ語試験を受けるなら事前にどんな問題が出るか、どんな単語を覚えればいいかなどの準備をするということです。

2)はたとえば、試験を作る人、試験会場の準備をする人、または試験準備を手伝う先生などが使う表現です。2)の文は四格しかついていないので、誰のために準備をしているか言いたい時は、「~のために」と言える普通の前置詞をつけましょう。

Ich bereite die Prüfung für die Schüler vor.

生徒さんのために試験準備をする(模擬試験を探したり、対策を練ったりなど)

☆☆

なかなかきわどい意味の違いでややこしいですね。なのでそういう時は数に触れる。

どんどん例文を出して違いを見ていきましょう。そして感覚的に理解していこーう。

1)Meine Mutter bereitet das Mittagessen vor.

2)Meine Mutter bereitet sich auf das Mittagessen vor.

意味は「お母さんが昼ご飯の準備をする」

1)は実際に料理をするという意味。

2)はこの昼ご飯をランチに変えたらわかりやすいでしょうか。誰かとランチに行くのでメイクをしたり出かける準備をしたり、ランチのメニューを事前に見て何を食べようか考えたりといったシチュエーションが想像できます。

なんかなんか・・・「準備する」って動詞が2種類あるなんてそんなことある?と私は昔vorbereitenが普通の他動詞であることを知った時ちょっと驚きました。

日本語の準備するの意味っておおざっぱすぎるんかい?別にランチのメイクしようが昼ご飯つくろうがどっちも準備って言えますもんね。これをドイツ語は動詞の使い方を変えるのかー。

さっさと次行こう。

これはさらに制限をかけて「私の誕生日の準備」をする。という意味です。どんな意味の違いが考えられる?

1)Ich muss meine Geburtstagsparty vorbereiten.

2)Ich muss mich auf meine Geburtstagsparty vorbereiten.

先に文化の違いにも触れておかないといけませんね。

ドイツの誕生日は、誕生日の人がパーティーを開き、計画して積極的に人を誘います。友達がどこかのレストランを予約してサプライズで祝ってくれるー・・・みたいな文化はありません。

1)の文は、自分の誕生日パーティーの準備を指しています。家に呼ぶかレストランにするかどこかを貸切るか・・また食事はどうするかケーキは買おうか焼こうか・・といった構想から実際に部屋を片付けたり買い物をしたりという客をもてなすパーティーの準備です。

2)の文はパーティーで自分自身をきれいに見せるようなときの準備に使います。着る服を選んだり買いに行ったりメイクをしたりするときは2の文です。

人の誕生日ではなく「私の誕生日」という縛りがあってもやはり2種類のvorbereitenが存在しますね。

次。

1)Russland hat lange Zeit den Krieg vorbereitet.

2)Die Ukraine musste sich auf den Krieg vorbereiten.

主語が違いますが、日本語訳はこちら↓

1)ロシアは長い間戦争の準備をしていた。

2)ウクライナは戦争の準備をしなければならなかった。

これはどちらも戦争の準備をするのですが、なぜ文法が違うのでしょう?

ご承知の通り、先に攻めたのはロシアの意思です。そしてウクライナは攻撃されたほう。つまりvorbereiten+四格のほうが積極性、またはアグレッシブ性、外に開けた感じ、といった意味があります。

逆に2)は消極性、受け身で内向的な感覚です。自分を守るための準備なイメージ。

最後の例も誕生日に似ていますが、どうでしょう。

1)Wir bereiten unsere Hochzeit vor.

2)Ich bereite mich auf ihre Hochzeit vor.

主語が違いますね。

1)私たちは自分たちの結婚式の準備をする。

2)私はあの子の結婚式の準備をする。

1)のほうはさっきの誕生日と同じで、ゲストをもてなすための準備。

2)は人の結婚式に呼ばれているほうでメイクをしたりして出席の準備をしているという意味では変わりません。ただ結婚式の時はスピーチを頼まれているなど自分の役割がある時は2)を使うのが正解です。

またさっき戦争の例のように1)はオープンに積極的に人を読んでもてなす側。2)は招待されたりして受け身な準備。といった共通点が考えられるかなと思います。

ちなみに

sich vorbereiten auf +四格

のほうは

sich vorbereiten für +四格

に書き換えも可能。

え、うそやろと思うかもしらんけど、aufのほうは目的語としての前置詞(Ergänzung)で、fürのほうは補語としての前置詞(Anfabe)ですね。

日本語も「~の準備をする」っていうのと「~のための準備をする」ってほぼ同じ意味っていうのと同じです。

とはいえニュアンスの違いはまぁまぁまぁまぁ説明してみてもなかなか難しいですね。

日常会話でその時にふさわしい表現をバチッと言えるのがどれだけ難しい事か。難しいほど面白いと思おう。

一緒に頑張りましょう。

最後のvorbereitenの変化表も出しておきます。

vorbereitenは分離動詞の前つづりvorと非分離動詞beが両方前についているまぁまぁめずらしい動詞です。現在完了形はどうなるんでしょ?↓

PräsensPräteritumPerfekt
ichbereite vorbereitete vorhabe vorbereitet
dubereitest vorbereitetest vorhast vorbereitet
er, sie, esbereitet vorbereitete vorhat vorbereitet
wirbereiten vorbereiteten vorhaben vorbereitet
ihrbereitet vorbereitetet vorhabt vorbereitet
sie, Siebereiten vorbereiteten vorhaben vorbereitet

現在完了形の正解は非分離動詞の変化のほうでした!(ge-なし)

動画解説はこちら↓

前のページ

プリンをフォークで食べる会【ドイツ語ニュース】

タイトルままの意味です。最初に考えた人なかなかいいと思ふ。

次のページ

☆☆

ドイツ語は「現地の教科書」をメインに勉強することをおすすめします。

教科書をやりながらこのサイトや動画を知識の補足、補強に使ってくだされば本望です。

上級を目指す人用のおすすめ教科書↓

Begegnungen A1

Begegnungen A2

Begegnungen B1

Erkundungen B2

Erkundungen C1

中級を目指す人用のおすすめ教科書↓

Spektrum A1

SpektrumA2

SpektrumB1

SpektrumB2

現地でのかんたんな日常会話を目指す人用のおすすめ教科書↓

Pluspunkt A1

Pluspunkt A2

Pluspunkt B1

ドイツ語上達の助けには個人レッスンをご利用ください♪