動詞と前置詞:前置詞つきの目的語 -Präpositionalobjekt-【ドイツ語文法28】

2020年6月17日著者: Nana

ドイツ語の前置詞とはおもにこのような単語のことを言います。↓

aus, bei, zu, von, seit, mit, nach, gegenüber, für, durch, bis, ohne, gegen, um, trotz, wegen, statt, während, an, auf, in, neben, hinter, vor, unter über……

分離動詞・非分離動詞の前つづりと同じものがたくさんある・・と気づく人も多いかと思いますが、分離して前つづりだけが単独になったばあい、後ろには何もつきません。

(Ich stehe auf.=私は起きる)のようにaufで終わっているのでこれは分離動詞の前つづりです。

 

逆に前置詞だった場合は必ず後ろに名詞または代名詞がつきます。(後ろに形容詞や副詞をつけることもできますがそれは上級レベルで。)

基本的な形:前置詞+名詞・代名詞

例:
1)Ich warte gerade auf den Zug. (auf→前置詞、den Zug→名詞)
私は今電車を待っている。

2)Ich fahre nach Italien.(nach→前置詞、Italien→名詞)
私はイタリアへ行きます。

3)Ich denke an dich.(an→前置詞、dich→代名詞)
君のこと考えてるよ。

 

名詞や代名詞がつくということは当然、自動的に格があるということなので、前置詞の後ろにも二格・三格・四格のいづれかの名詞または代名詞がつきます。

上の例だとauf+四格、an+四格、nach+三格がつきます。(Italienは冠詞がついていないけどここでは三格)

どの格がつくかは前置詞によって決まっています。

たとえばvonのあとは三格、überのあとは四格がつく、といった形です。しかしanやaufのように文や意味によって三格がついたり四格がついたりする前置詞もあります。

おもな前置詞と格の表。

前置詞+三格前置詞+四格前置詞+二格/三格前置詞+三格/四格
ausfürtrotzan
beidurchwegenauf
zubisstattin
vongegenwährendneben
seitohnelängshinter
mitummittelsvor
nachperlautunter
gegenüberproüber

これらの前置詞の意味は一概にこれとはいえず徐々にやるしかないのですが、今回の文法は前置詞そのものではありません。

前置詞つきの目的語(Präpositionalobjekt)という文法です。

つまり、ひとつ前の文法でやった目的語についてがメインです。

 

前置詞つきの目的語

前置詞つきの目的語とは何かというと例えば

「私はマラソン大会に参加する」という文はドイツ語でどういうのでしょう?

(*teilnehmen=参加する、der Marathonlauf=マラソン大会)

主語→私、目的語→マラソン大会に、と考えると

Ich nehme dem Marathonlauf teil.

と思う人がいるかもしれません。

しかし上の文は200%間違いで、正解は

Ich nehme an dem (am) Marathonlauf teil.
=私はマラソン大会に参加する。

です。

ではなんでここにanがつくのか?それは動詞が決めているんです。

teilnehmenという動詞は目的語との間にanが入るのです。そして

teilnehmen +三格=~(三格)を始める・始まる

という意味だと最初から決まっているのです。

だから何に参加するときでもanを動詞と目的語の間に入れる必要があります。

Ich nehme an einem Sprachkurs teil.
(私は語学教室に参加する。)

Würdest du an unserem Ausflug teilnehmen?
(私たちの遠足に参加したいですか?)

このようなan+三格のことを前置詞つきの目的語と呼びます。

 

前回の動詞と格のように、目的語を動詞が決める同じ文法であることがわかりますね。

動詞+前置詞つきの目的語はたとえばこのようなセットがあります。
(D=三格、A=四格で表します)

warten auf A
=Aを待つ

fragen nach D
=Dについて尋ねる

bitten um A
=Aをお願いする。

zweifeln an D
=Dを疑う

träumen von D
=Dの夢を見る

sprechen über A
=Aについて話す

様々な動詞に様々な前置詞がつき、そのあとに三格または四格の目的語がついています。

そのパターンは千差万別。

同じ動詞でも違う前置詞がつけば全く別の意味になることもあります。

例)
bestehen aus D
=Dからなっている。

bestehen auf A
=Aを主張する・Aにこだわる。

bestehen in D
=Dを示す。

動詞と前置詞つきの目的語のセットを勉強するときには、必ず例文と一緒に覚えることをおすすめします。

なぜなら日本語とドイツ語では使い方や表現がずいぶんと異なるからです。少しだけ例を見てみましょう。

例:

1)bitten um A

=Aをお願いする

Der Lehrer bittet die Schüler um die Aufmerksamkeit.
(先生が生徒たちに注目してくださいという。)

*「bitten A um A」=A(人)にA(物事)をお願いする。四格と一緒に使うことも多い。

 

2)überreden zu D

=Dについて説得する

Kann ich dich zu einem Abendessen überreden?
(君を夕食に誘ってもいいかい?)

 

3)telefonieren mit D

=Dと電話する

Er hat lange mit seiner Freundin telefoniert.
(彼は長い間彼女と電話していた。)

 

4)hoffen auf A

=Aを希望する

Wir hoffen auf ein schönes Wetter.
(いい天気になることを願おう。)

 

5)glauben an A

=Aを信じる

Ich glaube an ihn und seine Ehrlichkeit.
(私は彼と誠実さを信じる。)

*glauben+三格(Ich glaube ihm=私は彼を信じている)という表現もありますが、Ich glaube an D は存在や真実に対して、Ich glaube Dは言葉に対して信用するという違いがあります。

 

さらなる基本的な動詞+前置詞の一覧と例文を見て勉強する。

↑これぐらいの数(3ページ分)を応用できるようになれば中級程度の日常会話ができます。

暗記するしか方法がないのですが、時々傾向があったりもするのでたくさんの例文を比べて自分で探してみてください。

聞き流し動画で覚えるのもおすすめです↓。発音はネイティブ。

 

疑問詞がつく場合

三格・四格支配の動詞の文を疑問詞にする場合はどうしていたでしょうか。例をあげてみます。

A)Was machst du gerade?
=今何をしてる?

B)Ich mache die Hausaufgabe.
=今宿題をしてる。

ーーーーーー

A)Wem gehört der Schlüssel?
=この鍵は誰の?

B)Mir gehört der.
=それは私の。

このように疑問詞をふさわしい格にして前につけるだけでした。

では前置詞つきの目的語ならどうなるの?

こうなります↓

1.denken an A(Aのことを考える)の場合。

A)Woran (=an was) denkst du?
=何のこと考えてる?

B)Ich denke an meine Arbeit.
=仕事のこと考えてる。

ーーーーー

A)An wen denkst du?
=誰のこと考えてる?

B)Ich denke an mein Kind.
=子供のこと考えてる

 

2.träumen von D(Dの夢を見る・Dを夢見る)の場合。

A)Wovon träumst du?
=何を夢見てるの?

B)Ich träume  vom großen Erfolg.
=僕は大成功を夢見ている。

ーーーーー

A)Von wem hast du geträumt?
=誰の夢みたの?

B)Von meiner Mutter.
=母の夢。

まず、誰(人)と何(もの)で疑問詞の作り方が違うのがわかったでしょうか。

誰の場合、前置詞が最初に来てそのあとに疑問詞(誰)をふさわしい格にして入れています。

An wenやVon wemのような形ですね。(*誰の疑問詞は一格からwer, wessen, wem, wenでしたね。)

 

そして何(もの)の場合はwasという疑問詞が入りますが、省略が可能です。

wo+前置詞またはwor+前置詞です。woran, wovonという形です。

前置詞の最初のアルファベットが母音だった場合はwor, 子音だった場合はwoをつけます。

*wofür, worauf, worüber, wovor, wonach, wozu, womit….など

 

疑問文に答える場合

またこんな言い方もあります。

A)Denkst du gerade an deine Arbeit?
=今仕事のこと考えてる?

B)Ja, ich denke immer daran.
=うん、いつもそのこと考えてる。

ーーーーーーー

A)Denkst du an deine Tochter?
=娘さんのこと考えてる?

B)Ja, ich denke an sie.
=うん、考えてる。

疑問文に答える時、目的語を繰り返してもいいのですが目的語が物事である場合、省略バーションのda+前置詞で答えることができます。

先ほどのように前置詞の最初の文字が母音の場合はdar、子音の場合はdaを前につけます。

しかし目的語の対象が人である場合は代名詞を使いましょう。

*dafür, darauf, darüber, davor, danach, dazu, damit….など

この解説を動画で聴く↓

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