今回は「波風たてたくない」などの日本語的な、というか文化特有の発言をどうドイツ語で処理するかというページです。
理論ではなく、日常会話から実践的に取り上げます。
今回取り上げる例の中には私のレッスンでもよく出てくる「他人に迷惑をかけたくない」の表現はなんていうのか、など文法の技術ではなく知っているかどうかだけの表現もあれば、
「考えが変わった」や「嫌われたくない」などの表現を直訳してしまうとニュアンスが変になってしまうような例も取り上げます。
今回は全部で6つ。それでは一つ目からいきましょう。
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人見知り、恥ずかしがり
自分の性格を人に伝える時に言いたい人が多いです。1つ形容詞を知っていればしっかりと伝えられます。
Ich bin schüchtern.
schüchtern(形容詞)。最初にアクセントをしっかりつけて一気に言いましょう。自分はどんな性格かについてはいくつかあてはまる形容詞を持っておくことをお勧めします。自分を表現する機会はとても多いと思います。
でも、自分を下げてネガティブなモノばかり言うのは避けようね!schüchtenはどちらでもなくニュートラルです。
参考までに教科書(Begegnungen)のA2で出てくる、性格描写の形容詞をいくつかのせておきますね。
ポジティブ
lustig(おもしろい)
treu(誠実)
klug(賢い)
neugierig(好奇心旺盛)
kreativ(クリエイティブ)
lieb(優しい)
geduldig(我慢強い)
hilfsbereit(親切で手助けを惜しまない)
freundlich(フレンドリー)
fleißig(真面目、一生懸命)
tolerant(心が広い)
ネガティブ
aggressiv(攻撃的)
faul(なまけもの)
chaotisch(行きあたりばったり)
egoistisch(自己中)
pessimistisch(悲観的)
などなど。ネガティブなほうはあんまり書いておきません。ご自身に当てはまる形容詞を覚えてIch bin..と使ってください。
ちなみに私(著者)は…どうかな。状況によって変えていますが今思い浮かんだのは
Ich bin aktiv und anpassungsfähig.
行動力があって適応能力が高い。
だと思います。自慢に聴こえる?それで結構!
あなたも自分の性格はポジティブに描写すべし。日本語でもドイツ語でも。
☆☆
次。
波風をたてたくない
この表現!日本っぽい!・・・あまり主語を大きくして男とか女とか日本人とかドイツ人とか言うのはよくないですが、そうはいってもある程度の特性はある。
これも性格なので形容詞一つでいえます。
Viele Leute in Japan sind konfliktscheu.
konfliktscheu(形容詞)。もちろんこれは個人の性格描写にも使えます。直訳すると「争いを避けがち」な性格という感じです。何か嫌なことがあったり問題があった時に話し合って解決しようとすることが苦手な特性ですね。ただ衝突が少ないという穏やかな面もある。
ドイツの文化圏だけで見るとネガティブよりかもしれません。何かあると楽なほうに逃げるという負な面が目立つかも。
しかしたとえば中国の文化圏だとポジティブに聞こえるでしょう。日本の文化圏だとニュートラルな感じがするのですがいかがでしょうか。波風をたてたくない。ちょっとポジティブかもしれない?
個人的に日本人の特性を一言で簡単に表現するときに、私がよく使う表現なのでおすそわけ。これよりもっと当てはまるなと思う表現を見つけるまではこれからも使うと思います。
☆
konfliktscheuになってしまうには以下の理由もあるかもしれません。
嫌われたくない
これは世界中、誰しも嫌われたくない。そりゃそーだ。でもこれは直訳するとかなり痛い文になるので取り上げておきました。
変な文:Ich will nicht gehasst werden.
hassen=嫌い
を直訳して「嫌われる」だから受動態の文にしたやつ。確かに文法は合ってるけどニュアンスが違うぞ、ってやつ。なのでこれは言うな!
なぜかというとhassenという動詞は日本語の「あいつ嫌ーい」と軽く言える感じの「嫌い」ではなく、もっとハードで深刻な「嫌い」だからです。夫が戦死したウクライナ人がプーチンに対して使うぐらいのハードモードです。日常会話では相当強調したい時にたまーにしか使わない。
じゃー軽く「嫌われるの嫌だな」とか「嫌われたくないな」とドイツ語で言うとしたら。
これが一番いいと思います。
Ich will keinen schlechten Eindruck machen.
直訳は「悪い印象を与えたくない」ですが、嫌われたくないというにはこれぐらいが一番いいと思います。
または「好かれたい」のほうで言うのもあり。
Ich möchte beliebt sein.
こっちはポジティブな感じ。ただちょっと控えめな好かれたいというよりは、たくさんの人に好かれて人気者になりたい感じのニュアンスもあるかもしれません。
だから嫌われたくないは、1番目のほうがあってるかなと個人的には思う。
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次。
迷惑をかけたくない
これ日本で一番発言されてんじゃないのとひそかに思っている。だって日本に住んでるたくさんの人の行動基準がこれな気がする。というかたぶん子供のころから大人に言われ続けるからだと思う。そして大人のほうも「子供に迷惑かけたくない」とよく言ってる気がする。
なのでドイツ語も覚えとこう。
Ich möchte anderen keine Umstände machen.
D Umstände machen=D(三格)に迷惑をかける
と覚えておくといいと思います。迷惑を書ける対象は三格です。だから「子供に迷惑かけたくない」といいたければ
Ich möchte meinem Kind keine Umstände machen.となります。
ドイツでもUmstände machenはいろんな文脈に形を変えて使われています。ただ、一般的に言うのではなく一つの事象のみに対して言うことが多いです。
たとえば私が日本にいたとき、ドイツの友達がユニクロのヒートテック買ってきてほしいって頼みました。でもあれけっこう大きい箱に入ってるので、その友達は、もし荷物がいっぱいなら買わなくてもいいと。その買って持って帰るという一つの事に対して「迷惑かけたくない」という言葉を使ったわけ。
常識としての「他人に迷惑をかけないように」ではなく、一つの具体的な事例に使うイメージ。
まぁ、さっきの友達の例は実際は迷惑をかけたくないのところ、Ich möchte dir keine Umstände machen.ではなく、Du muss dir keine Umstände machen.だったんですけどね。
つまりUmstände machenは自分が主語になると、「自分に面倒なことをする」という意味にもなります。
ドイツだと相手に何か面倒なことしてもらうとき「あんたに迷惑かけるの悪いなぁ」とも言いますが「したくなかったら面倒だししなくていいから」的な言い回しのほうがよくしているのかもしれません。私の個人的な感覚ですけどね。
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次。
考えが変わった
これはレッスンで直訳をする人が多いので取り上げました。これも典型的な日本語脳の表現だと思ったので。
変な直訳表現はこちら↓
Mein Gedanke hat sich geändert (verändert).
der Gedanke(考え)がsich ändern(変わる)を現在完了形にした文なので完全な直訳です。
動詞はändernを使う人もいればverändernの人もいます。どっちで言うても変です。sichを抜かして言ってしまう人もいますがそれは文法ミス。
しかし文法は正しくてもニュアンスが変で、この文は使えないと覚えておきましょう。
正しいのはこちら。
Ich habe meine Meinung geändert.
です。「私は自分の意見を変えた」と言います。
これ絶対覚えておいて。ネイティブはとてもよく使うし聴くから。ちなみにverändernではなくändernです。
なんらかの影響を受けて意見や考えを変えた、という表現はよく使うのでバリエーションはたくさんあります。
たとえばよく聴くなぁと思うのは
Jetzt sehe ich das anders.
とか
Ich habe es mir anders überlegt.
とかよく言ってます。
しかし共通するのは主語はかならず私!考えや意見ではありません。
日本語の「考えが変わった」っていうのは、やっぱり何か「自分が考えた結果変えた」ではなく、私の責任ではない何かが動いていつのまにか変わってしまったんだ的なちょっと責任転換的な感じがあって、はっきりしない。
日本語だとそういうほわっとした、誰が決めたかを曖昧にする表現がたくさんありますよね。
たとえば「引っ越しすることになりました」の「~することになりました」っていう文法。この文法をドイツ語母語者が初めて見たらまず意味が分からない。この文法を使うとなりゆきでそうなりました、私が決めたのではないのです、みたいなニュアンスが出せますよね。ふわっと理由を責任転換させる感じ。
そういう表現がドイツ語にはないし、また合わないんです。
私はこれが日本語とドイツ語のニュアンスの大きな違いの1つだと思っているんですけど、ドイツ語って自分の発言に責任を持つという態度が言語に出てる。日本語は発言の責任を一人で持ちたくないがために色々な曖昧な表現が使われると思います。
だから逆にドイツ語母語者が日本語を使うと、結構うまい人でも生意気に聞こえることもたくさんあるし、自己主張強って思われることもあるだろうし、逆に日本語母語者がドイツ語を使うとあいまい過ぎて伝わらない、で、結局何が言いたいの?と思われて興味を失われたりするわけ。
言語と文化。大変だ。
☆☆
最後にゆるいやつ。もうすぐバレンタインだから。
義理チョコ
ドイツ語には存在しないものだけど、ドイツ語で説明したいよね、義理チョコと本命チョコ。
バレンタインの儀式。そんなときにこう言うと伝わるよ。
Pflichtschokolade
これが義理チョコの直訳。
Schokolade aus Pflicht
Schokolade aus Höflichkeit
と言ってもいいと思う。
DUDENに載っていないので正式なドイツ語ではありません。しかし別に理解できれば作ってもいいんだよ名詞ぐらい。しかしこれ一言だけ言っても、どういうこと?ってなるわな。
Am Valentinstag schenke ich meinen Kollegen nur Pflichtschokolade.
バレンタインに同僚に義理チョコだけあげる。(本命チョコはあげない)
こんな感じで使う。
本命チョコはLiebesschokoladeとか言えばいいと思う。
とはいえ、私はもう10年以上日本に住んでいないので、義理チョコ文化がどのぐらい今もあるのかわかりません。今はどんな感じなんですか?若い人は友達同士とかでも交換するの?働いている人は上司なんかに渡したりするんですかね?教えてください!
ちなみにチョコレートは数えれないからゼロ冠詞だよ。
いっこいっこに分かれてる小さいチョコレートはチョコレートじゃなくeine Praline(Pralinen)と言おう。
そして板チョコは
eine Tafel Schokolade.
まぁ口語ではTafelが分かりきっていれば省略して
Ich esse eine Schokolade.
と言ってもいい。Ich trinke einen Teeのように。でも複数形は使えないぞ!Schokoladenと言わないように。
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それではもうこんなに書いて疲れたのでここまで。
今日やった表現はこちらでした。
1.人見知り、恥ずかしがり
2.波風たてたくない
3.嫌われたくない
4.他人に迷惑をかけたくない
5.考えが変わった
6.義理チョコ
読むほうもしんどかったでしょう。おつかれ!
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vorbeireiten+四格とsich vorbereiten auf+四格の違い【ドイツ語動詞】
「準備する」に文法を変えるほどの異なるニュアンスがあるのか?答えは「ある」。ドイツ語ならね。日本語から考えるとまず気づかないやつ。
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動画解説
ドイツ語は「現地の教科書」をメインに勉強することをおすすめします。
教科書をやりながらこのサイトや動画を知識の補足、補強に使ってくだされば本望です。
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義父が突然入れてくれた英国式ミルクティーセット。角砂糖と生クリームで紅茶を飲む。入れ方も決まっている。面白い。

私ミルクティー大好き。でもドイツはそういうのないと思ってた。
こんなん持ってるんならもっと早く言ってよ!なんなら10年前とかに!♡
