【実践】A1の教科書に出る三格をとる動詞5つ【ドイツ語文法27-1】

2025年8月25日著者: Nana

今回はこの動画の中の三格を取る動詞というカテゴリーの文法です。

動詞と格:三格と四格支配の動詞【ドイツ語文法27】

Ich helfe ( ). Ich treffe( ). 三格か四格か?動詞の格支配について。

三格をとる動詞・・・というと最初に説明されるのはhelfenかもしれませんね。

Ich helfe meiner Mutter.

「私はお母さんの手伝いをする」

みたいな意味。これはhelfenは三格をとるのだ、と覚えるだけなので今回はやりません。

今回やるのは日本語的に感覚がなかなかつかみにくい初級に代表的な5つの動詞を選びました。

gefallen

gehören

stehen

passen

schmecken

これらは三格をとる動詞です!と習った方も多いと思います。初めての方も覚えてね。

その5つは現地の語学学校で使うA1の教科書(Begegnungen)に出てくる動詞です。この教科書を独学中の方で第6課に達した方はこのページも参考になるかと思います。

今回は理解するだけではなく、実践も一緒に。日本語で考えにくいものは使うと違和感があるので、それに慣れるために何度も使わなければなりません。

まずは意味から。

動詞だけの意味を訊かれるとぱっと出てくる人も多いかと思います。でも正しく使えてるかな?

主語をN、三格を「私」にしてこの動詞を訳してみましょう。

gefallen=Nが私は気に入った

gehören=Nは私のもの

stehen=Nは私に似合う

passen=Nが私のサイズに合う

schmecken=Nが私にとっておいしい

となるでしょうか。

つまりこれらの動詞では、気に入った「人」、所有している「人」、似合う「人」などはすべて三格になるんですね。日本語とちょっと違いますが、日本語がそもそも主語が曖昧なのであまり参考にはなりません。

ドイツ語は日本語のように主語を省略したり適当に使うことが許されない言語ですから、これらの動詞の主語は気に入った「対象」、所有している「対象」が主語です。これを変えることはできません。だから「そのピアスいいね!買う!」と思った時は「ピアス」が主語。いいと思った「私」は三格になります。

ここまでちゃんと理解できているかは次の質問で各自チェックしてみましょう。

以下の質問に答えてみてください!↓

さっきの動詞たちにはどの人称代名詞が基本的に主語に使われますか?

どうでしょうか?ヒントは2つです。どの2つ?

質問の意味が全然わからないよ!という人は人称代名詞(文法1)を復習しよう。

ドイツ語の人称代名詞はいくつありましたか?

6つですよね。

6つの中のどれがgefallenやgehörenとよく使われますか?

答えは「三人称」です。

ドイツ語の三人称は単数形と複数形の2つですよね。「三人称の人称代名詞」がさっきの質問の答え。

これらの5つの動詞に使われるのは100回あったら99回までは三人称なんです。だって「私」や「キミ」はあまり主語にならない動詞だから。

もちろん100回出てきたらそのうちの1回は違うのですから、それはこのページの一番最後で誰もが納得する説明をしましょう。

でもあまりたくさんのものを一気にやっても使うことができません。まず一番使うものから。

今回は手順1~5にそってこの5つの動詞を実践で使えるようにしていきましょう。

手順1

それでは実践練習をする前の準備です。各動詞を三人称の形に直してみましょう。

原形三人称単数三人称複数
gefallengefälltgefallen
gehörengehörtgehören
stehenstehtstehen
passenpasstpassen
schmeckenschmecktschmecken

どうですか?三人称の複数形は原形と同じ形!でしたよね。そして単数形は語尾のenをとってtをつけるだけ!

ich schmecke…とかdu gefällst…のような一人称や二人称はほぼ使われないのであなたが初級なら覚える必要ありません。Ich stehe.は他の意味(私は立っている)になってしまうしね。今勉強する三格としてのstehenは「似合っている」という意味です。stehenっていう動詞一つだけを覚えていても全く意味がないいい例です。

だから本当に主語の選択には注意。

この5つの動詞を使う際にもう一つ使いこなさなければならない文法があります。それは人称代名詞の三格だ!

手順2

人称代名詞の三格を復習しましょう。

人称代名詞を表をこちらに出しておきます。

一格ichduersieeswirihrsie
三格mirdirihmihrihmunseuchihnen
四格michdichihnsieesunseuchsie

この表が初めてで使い方が分からないと思った方はこちらをサーッと読んできてもいいかもしれません。

人称代名詞の格変化 ich, mir, mich, du, dir dich他【ドイツ語文法11】

ich meiner mir mich(私は・私の・私に・私を) du deiner dir dich(君は・君の・君に・君を)

今回は三格の動詞ですから使うのは三格のみ↓

一格ichduersieeswirihrsie
三格mirdirihmihrihmunseuchihnen
四格michdichihnsieesunseuchsie

ここを覚えておいてね!

それでは実践練習へ。

手順3

それでは実際に自分で文を作ります。

主語にパーカー(der Pulli)、三格には一人称つまり「私」を入れて以下の動詞とともに文を一つ作ってみましょう。

1.gefallen

2.gehören

3.stehen

4.passen 

5.schmecken ←ここだけ好きな食べ物を入れて!

パーカーはドイツ人が、特にほとんどの男性が冬に着ているといってもいいフードつきのトレーナーのことです。der Pulloverがちゃんとしたドイツ語ですが口語ではよくder Pulliと言いますのでこっちで行きましょう。

文を作るのは簡単です。

まず主語を一格にして入れて、動詞が2番目で、その後に三格の「私」を入れます。

それを忠実にやって下さい。感覚は変でも変えないで。文法は個々の感覚どおりにはしてはいけないものなんです。

5のschmeckenはどうしてもパーカーでは作れませんので、主語にあなたの好きな食べ物を入れて作って下さい。

できましたか?

こうなりましたか?

1.Der Pulli gefällt mir.

2.Der Pulli gehört mir.

3.Der Pulli steht mir.

4.Der Pulli passt mir.

5.Kimchi schmeckt mir.

簡単ですね。それではもう一つ大事なこと。それぞれの文を訳してみてください。

1.このパーカー、気に入った。

2.このパーカーは私のです。

3.このパーカー私に似合ってる。

4.このパーカーは私にぴったり。

5.キムチはおいしい。

こんな感じで理解してますか?stehenとpassenの違いは大丈夫ですか?

似合うのとサイズが合うのとではだいぶ意味が違うので正しく意味を覚えてね。

それでは次です。

手順4

今度は主語に靴(die Schuhe)を入れてみよう!そして訳してみよう。

今度は余裕がある人は否定形にしてnichtも入れてみましょうか。schmeckenのところにも嫌いな食べ物を入れてね。

出来た人は以下の例文と照らし合わせてみてください。

1.Die Schuhe gefallen mir nicht.

2.Die Schuhe gehören mir nicht.

3.Die Schuhe stehen mir nicht.

4.Die Schuhe passen mir nicht. 

5.Natto schmeckt mir nicht.

引っかかった人はいないですか?今回の動詞の形は複数形です。なんで?

だって靴は2足だから!

動詞は主語の人称によって変えなければならないので、今回は複数形が正しいんです。「私」は関係ないです。それでは訳も。

1.この靴は気に入らない。

2.この靴は私のじゃない。

3.この靴は私に似合わないよ。

4.この靴はサイズが合わない。

5.納豆はおいしくない。

いかがでしょうか。

うーん。まだまだ変な感じがする人も多いですよね。そりゃあそうだ。日本語訳はあなたが意味さえ理解していれば一番しっくりくるもので大丈夫。一番使っている日本語を当てはめて理解してください。

1は気に入らないよりも好きじゃないのほうが使う人はそっちで覚える。2とか間違えても「私に属している」とか変な覚え方はしないように。そんなの頭に入ってこないよ。

大事なのは「私」や「人」を主語にしない使い方に慣れることです。このような表現はドイツ語にはめちゃくちゃ多いです。今回はそれの一番の初期段階をしているので、必ずしっかりと勉強してください。この5つ。

それではさらなる練習。

手順5

応用練習です。

実践練習ですので、最近のものを使いましょう。

これは最近メルケル元首相が出版した自伝です。読んだ方いらっしゃいますか?彼女は旧東ドイツの出身ですから、私はそこがとても興味深いと感じます。

でも今は本の話じゃなくて実践練習、実践練習。

さっきの5つの動詞を使って、この本の表紙について色々思ったことをコメントしてみよーう。

たとえば本を読んだ人はこの本気に入りましたか?

服はこの人に似合ってますか?またはサイズ合ってますか?

ネックレスは?

それぞれの動詞にあてはまる主語を考えて作ってみましょう。想像力を最大にして!

たとえば私はこんな文が思い浮かびました。

1)Die Halskette steht ihr gut.

2)Ihre Haarfarbe gefällt mir.

3)Die Kleidung passt ihr nicht so gut. Sie ist vielleicht zu groß.

4)Die Bücher gehören mir nicht.

5)Ihr Pony steht ihr total gut. Sie sieht ziemlich jung aus.

1)ネックレスはこの人に似合ってる。

2)髪の色が好き。

3)服はあんまり合ってない。ちょっと大きすぎるかも。

4)この本は私の本じゃない(上と下の2冊あるので複数形です)

5)前髪めっちゃ似合ってる。けっこう若く見える。

いかがでしょうか。

 

*文を作るときにとてもとても難しいのは、「文法はあってるけどニュアンス的に変な感じがするやつもある」ということです。

これはドイツ語学習歴や経験が浅い方はもうしょうがないです。ネイティブや経験のある人に変な感じがしないか見てもらいましょう。AIももちろん駆使してください。ただAIはニュアンスにはちょっと弱いかもしれません。非ネイティブの私よりだいぶ弱いのでちょっとポンコツです。

アイデアの豊富な方はたとえばさっきのメルケル元首相の例文で

「髪は本当に彼女のもの?もしかしたらカツラなのかも。」とか「微笑が気に入った」または「微笑が似合っている」とかも思いつくかもしれません。これぐらいを思いつける人はとても想像力が豊かだと思います。

いやーでもこれはドイツ語にしてみると・・・

Gehören ihr die Haare überhaupt? Vielleicht trägt sie eine Perücke.

Ihr Lächeln gefällt mir.

Ihr Lächeln steht mir.

文法はあってるけど、変です!うーーーーーん、と思います。私でさえうーんと思うので、ネイティブはもっと思うかも。

これはほんの一例ですが、やはり教科書に載っている例文は本当に基礎的でいい文を選んであると思います。ちょっと外れるとやっぱりドイツ語の総合力を問われることになりますね。

教科書ではおもに服や持ち物の単語がたくさん出てきた後にgefallenを使って例文を作る(BegegnungenA1なら145ページに単語、148ページで練習)、という形をとってますのでやはり教科書にそって練習するのは大事ですね。その後にそれらの単語を使って自分の持ち物などで少し応用する程度がいいかもしれません。

手順6

最後のステップです。教科書のをやり終わったと仮定して、もうひとつ写真を見て例文を作ってみましょう。

このお方。この方もドイツ語母語者ですね。なぜこれを選んだかというと、男性だったことと、メルケル元首相にないものがあるからです。

それはder Bart!(ひげ)

ひげと髪型(die Frisur)が写真をみると目立つかと思うので、あなた自身は彼の髪型と髭をどう思うか先ほどの動詞を使って簡単に書いてみましょう。

der Schnurbartを知っている人はそっちのほうがいいです。der BartだけでももちろんOK。

じゃあ私も今回は簡単に書いてみました。

1)Seine Frisur gefällt mir.

2)Der Bart steht ihm auch gut.

3)Der Mantel gehört ihm.

4)Der Mantel passt ihm gut.

日本語訳例

1)この人の髪型好きだよ。

2)ひげも似合ってるよね。

3)このコートはこの人のだね。

4)このコートのサイズあってるね。

「この人のアイデア気に入ってる」とかは書きたい?いや、ドイツ語では書かないで・・かなり上から目線で変かもしれない。亡くなった人であっても。

あなたが初級なら服と持ち物に限定しましょう。今は。そしてそれを主語にする!ということを覚えるのが大事。

Ich …と言っちゃうとこれらの動詞はもうその瞬間使えなくなってしまいます。

☆☆

中級以上の方はたとえばgefallenの主語に人がきたりするのは見たことがありますよね。

たとえばIch möchte dir gefallen.とか言えたりする。まぁこれは冗談で使うことも多いかもしれませんが。

これは「私はあなたに好かれたい」という意味ですね。

どっちがどっちを好きか、というのに混乱しないように。いつも好きになるのは三格のほうです。一格ではなく!訳すのは難しいですね。翻訳はAIの得意分野ですので、ドイツ語から日本語に訳すときにはたくさん使って誤解のないように確認するといいと思います。

初級じゃないgehörenの使い方

gehörenとgehören zuとgehören in【ドイツ語動詞】

1)gehören D 2)gehören zu D 3)gehören in A 4)sich gehören 基礎が1と2,応用が3と4。でもどれも日常会話で使います。

動画解説はこちら

☆☆

ドイツ語は「現地の教科書」をメインに勉強することをおすすめします。

教科書をやりながらこのサイトや動画を知識の補足、補強に使ってくだされば本望です。

上級を目指す人用のおすすめ教科書↓

Begegnungen A1

Begegnungen A2

Begegnungen B1

Erkundungen B2

Erkundungen C1

現地での日常会話を目指す人用のおすすめ教科書↓

Pluspunkt A1

Pluspunkt A2

Pluspunkt B1

☆☆

できれば辞書もそろえよう。

ドイツ語辞書はなんといってもカシオの電子辞書が優秀で便利です。私も語学学校時代や大学時代に肌身離さず持ち歩いているほどお世話になっていました。AIは発言に責任を持たないので。

ドイツ語のインストールが必要です。紙の辞書より高額ですが軽く小さい一台で便利なのでずっと愛用しています。2台持ってるよ。

☆☆

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