先日、ドイツ中部のワイマールにあるゲーテハウスとその隣にあるゲーテ国立博物館に行って来ました。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749ー1832)といえば文学界のレオナルド・ダ・ヴィンチで、ドイツを代表する人物ですよね。
『ファウスト』や『若きウェルテルの悩み』は教科書に載るほどの作品です。
ゲーテはワイマールに約50年も住んでいました。82歳で亡くなっているので3分の2をワイマールのこの家で過ごしたことになります。
広い庭つきの豪邸。

部屋数もたっぷり。

オーディオガイドを聴きながら、この家に入って一つ一つの部屋を見てまわったのですが、直感で思ったことは
人生めっちゃ楽しんでたわこの人!
でした。
家に入った瞬間からイタリア風で(ゲーテはイタリアが大好き)、たとえば玄関の隣にある階段はやたら大きく、階段がゆるやか。
これはゲーテのイタリアかぶれが勃発したもので、「古代ローマ人っぽくゆったりと階段を上り下りしたい」という理由から、家を大改造した(とオーディオガイドが言っていた)。
客人が来たときにゆっくりと上から降りて来て優雅に、「いらっしゃい」とかやりたかったに違いない。
ゲーテは重度のコレクターでした。
部屋は壁一面に絵画。

誰でも一目で分かる部屋ごとのテーマ。

その数はまるで、小さい博物館のようです。絵画や彫刻作品が好きでしょうがなかった。

石コレクション。その数1万8000以上らしい。ただの石ころも美しくラベルを張って保管してたとか。

裕福+重度の収集癖って歯止めの利かない組み合わせだと思う。
好きなものに囲まれて暮らしたいという執念がすごすぎる。そしてゲーテは金銭的にもそれができた(家庭がそもそも裕福だったから)。この家に来るとそれをひしひしと感じる!
今は観賞用に綺麗に整えられているけど、実際はもっとぐっちゃぐちゃに色んなものが散らかってたらしい。
2026年現在この状態の家はもうすぐ大がかりなリノベが予定されています。
なので以後はもっと当時のゲーテの家に寄せて、もっと散乱させる予定らしいので数年後にまた見に来たいですね。
でもゲーテが他のコレクターと決定的に違った点は、その収集癖が「世界のなりたちの全てを知りたい」という好奇心から来ていたところだと思う。
収集して自分のものにすることが目的、そしてそれを眺めては満足、ではなくて。
☆☆
ゲーテはとにかく好奇心が旺盛でした。底なしの好奇心を持っていました。文系とか理系とかいう枠組みは彼にはなかっただろうし、気になったら徹底的に調べたい、自分の目で見たいというオタク気質で、あらゆる分野に首を突っ込んでいました。
人間の歴史を全部知りたいと思えばイタリアに行き、古代ローマに触れて膨大な美術品を持ち帰ったり。
ゲーテハウスで興味深かったのは、歴史のある絵画だけではなく、簡単なスケッチや道端で売っているようなものもたくさんあったこと。彼にとって新しいことがあれば、有名とか名前とか関係なく、なりふり構わず買ったんだろうと思う。
たとえば(たぶん初めて)気球を飛ばそうとしているスケッチなども飾ってあった。気球は当時、とても新しい技術だったんでしょう。それを見た人がかいたスケッチをゲーテは買って、気球について知る、という。絵がゲーテの情報源だった感もある。新しい技術にも精通してたんだと思う。
そんなだから守備範囲が広すぎる彼の知識は、解剖学、植物学、色彩論、気象学、そしてメインの文学など多岐にわたり収集し、勉強し、アウトプットすることができた。
言い忘れていたがゲーテの人生は小説を書きながら、あらゆることを勉強していた趣味の人生ではなく、ちゃんと仕事も持っていました。政治家として。
というかガチの政治家として。ワイマール公国の宰相(今の首相レベル)としてガチで政治を仕切ってもいた。しかも財政も立て直したという超エリートの官僚でもあった。
ずば抜けて可動域の広い人だったんだろうと思う。それを世間は天才と呼ぶ。
膨大なデータをこねくり回して自分の中で熟して発展させる能力ってキャパの広さなんだと思うが、ゲーテの中のその広さ宇宙的だったんではないでしょうか。
別の面(むしろメイン?)を見れば20代で「若きウェルテルの悩み」を書いて世界的インフルエンサーにもなっており、社会現象を巻き起こしましたよね。
「ファウスト」は60年もかけて完成させたし。60年も一つの作品を完成させずに熟すことがどれほど困難なことか。しかも最後には完成させるというのがさらにすごい。やりっぱなしではなく執念も強かったんだろうな。
なんというバイタリティーでしょう。
私、今までゲーテについてほとんど何も知らなかったのに、今回はじめてワイマールに行ってゲーテの家を1時間ほど見ただけでも、ものすごい情報があり、ゲーテをとても感じることができました。(オーディオガイドのおかげでもあります)
もっとゲーテを勉強すればまだまだあるでしょう。(ゲーテの作品まだ一冊も読んでもいません。これから読もうと思います。)
☆☆
それにしても天才で当時の社会にも相当貢献しており、20代ですでに成功し、好きなものを集めて知的好奇心を思う存分爆発させていたゲーテですが、そんないいとこばっかりやったん?
そんなわけありません。ゲーテも人間。迷惑もかけているしモラルが欠けているところもあるし、普通ならやらない行動もしている。
たとえばゲーテは37歳でバーンアウトしている。別名燃え尽き症候群になっている。いろいろなことをやりすぎて、また政治家なんて激務なんで心身喪失してしまったんですね。
しかしその後に取った行動がやばい。
なんと誰にも告げずに偽名を使って失踪。そのまま2年間イタリアに逃亡した(とオーディオガイドが言っていた。)首相レベルの政治家が職場放棄して姿を消してしまうんだから誰よりもやばいんじゃね?
でもたぶんゲーテは直感で分かっていたんでしょう。今は自分のために他を相当犠牲にしないと回復できないと。
実際この逃亡が楽しすぎて、帰ってきた後にイタリアについてのベストセラー旅行記を出版してしまう。世界をなめてますね。これだけの知的才能を備えてる人なら許しちゃう?私なら絶賛あり。こういう人は貴重すぎるから。まわりが大変やけどね。周りにいるだけで歴史に名前が残るという取引だね。
本当に派手な人生だと思います。ゲーテハウスにきてゲーテのイメージがめっちゃ陽キャになってしまいました。各壁の色もとても明るいイメージで、華やかな美術品にあふれており、品のある陽キャな家。
パーティーが大好きだったし、女の子も大好きで常に恋愛してたし、夜な夜なワインを飲みながら語り明かしていたらしい。
夕食後に時々ゲーテがビールを飲みに来ていたレストラン。

華やかな生活で、ある程度やりたい放題の人生だったと感じました。
しかし。
一部屋だけ、ガラッと雰囲気の変わる部屋がありました。次回へつづきます。
ゲーテの名著
あまり役に立たないワイマール旅行の動画はこちら
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