歯医者でのdürfen【ドイツ語実践】

2025年10月21日著者: Nana

今日は2025年10月21日です。半年ごとに行っている歯医者の定期健診に行って来ました。いつも行っている歯医者さんです。ちなみに歯科医は女性です。

以前はどうだったか記憶にないんですが今回、歯医者さんとアシスタントさんの指示が全てdürfenだったので紹介しようと思います。

ということでさっき歯医者さんとアシスタントさんが使ったdürfenの文を再現しました。ついさっきの話なので文は正確に記憶しています。彼らが言った内容そのままです。

その前にdürfenの復習。

文法的には6つの話法の助動詞の中の一つですね。意味は肯定文だと「~してもいい」(許可)。否定文だと「~してはいけない」(禁止)。日本語にするとちょっとお堅いイメージがあるかもしれません。

変化形も復習しておこう。

dürfenPräsens(現在形)Präteritum(過去形)Perfekt(現在完了形)
ichdarfdurftehabe gedurft
dudarfstdurftesthast gedurft
er / sie / esdarfdurftehat gedurft
wirdürfendurftenhaben gedurft
ihrdürftdurftethabt gedurft
sie / Siedürfendurftenhaben gedurft

*話法の助動詞の現在完了形は基本的には使いませんが(なぜかというと本動詞じゃないから)、たまに本などを読んでるとこの形が出てくることがあるのでgedurftの形は存在はしている、ぐらいに思っておいてください。日常で使うことはありません。

さて、ここで問題。

今回は歯医者さんやアシスタントが私(患者)と会話しています。私に対して彼らはどの人称を使いますか。

答えは敬称のSieです。つまりdürfenは三人称複数と同じ変化ですね。

復習はこちらで↓

話法の助動詞(客観的意味):現在形【ドイツ語文法25】

Wir können schwimmen.:泳げる Wir mögen schwimmen.:(今)泳ぎたい Wir wollen schwimmen.:泳ぎたい Wir sollen schwimmen.:泳いでと言われた Wir müssen schwimmen.:泳がなければ Wir dürf...

それでは今日の流れです。

歯医者の受付で保険証をスキャンして、待合室(Wartezimmer)で個人データなどに関する同意書を書きました。

名前を呼ばれ、指定された個室に入りました。

ちなみにドイツの歯医者はすべて個室。

アシスタントの人に診察いすを指さされ

Sie dürfen hier Platz nehmen.

=ここに座って下さい。(直訳:座ることを許可します)

と言われました。

私はカバンを持っていたのでさらに奥にあった椅子を指さして

Sie dürfen die Tasche drauf legen.

=そこにカバンを置いてください。

と言われました。

私は言われた通りにカバンを言われた椅子に置いて、診察椅子に座ります。ちなみに靴は脱ぎません。

そして少し待つと歯科医が入って来て挨拶をしました。

挨拶と一緒に握手もします。ここでスモールトークが少しあります。

私は今回半年ごとの定期健診で来たことと、少し最近気になっていることも話しました。もちろん歯の状態の話です。

そしていよいよ診察。

椅子が倒された後に

Sie dürfen den Mund öffnen.

=口を開けてください(直訳:口を開けることを許可します)

と言われました。

口の中を全体的にチェックされました。

ここでも私が指摘した箇所を確認したり色々と話しかけられます。私はうなずくことしかできませんが。

そして

Sie dürfen den Mund wieder zumachen.

=口をまた閉じていいですよ

と言われました。

少し気になる箇所があるので右と左の上の歯のレントゲンを撮ると言われます。

ここで歯科医は出て行き、アシスタントが引き継ぎました。

アシスタントが私を別の部屋に誘導します。レントゲン室の前まで来て

Sie dürfen reingehen.

=ここに入って下さい

と言いました。

言われた通りに入ると中にある椅子を指さして

Sie dürfen Platz nehmen.

=ここに座って下さい。

と言われたのでおとなしく座りました。

アシスタントさんはてきぱきとレントゲンに必要なものを用意し、それを私の前に持ってきて、

Sie dürfen drauf beißen.

=これを噛んでください

と言いました。紙みたいなペラペラなものです。まずは右側からのようです。

そして噛んだ状態を確認すると

Sie dürfen sich nicht bewegen.

=動かないでください

と言われて撮影されます。撮影は一瞬です。

終わったら

Sie dürfen wieder den Mund aufmachen.

=また口をあけてください

と言われ、紙が取り出されます。

そして次は左側を撮影するために

Sie dürfen sich komplett nach rechts zur Tür setzen.

=右のドア側に完全に向いて座って下さい

と言われました。

この言い方はレントゲン室によって違いますが、私が座っていた椅子の右にはドアがあって、機械は左側にあったので、右側をむいて、左の歯を撮影するということです。

同じことをもう一度繰り返し、取り終わった後は

Sie dürfen wieder zurück in den Raum 1.

=また部屋番号1へ戻って下さい。

と言われました。

今回すべての支持がdürfenで行われたのでけっこう印象に残りました。後で夫に訊ねたら「あれが普通やで。たぶんいつもそう言うてるで」と言ってたので今回たまたま私の意識下に出てきただけなのかもしれません。

言い方はさまざまなのですが、日本語だったら「~してください」みたいな命令形をつかう場面にdürfenを使うことはドイツでは多いと感じます。

もちろん全く無礼な感じはありません。そのままの意味で「~の許可をします」「~してもいいです」を表します。

スーパーのレジの店員さんがしょっちゅう支払いのときにSie dürfen.というので、私も最初は慣れないなぁと思っていたけど、今はすっかり慣れて違和感は感じません。

しかし人に指示を出すときは色んな言い方があります。

たとえば普通に不定形で言う人もいるし、Ich muss Ihnen etwas Blut abnehmen.のように不快なことをしなければならないときはIch mussなどと言ったりもします。

ただ一つ言えることは日本語のように指示をするときに「お口あけてもらっていいですか?」や「カードをここに差し込んでいただいてもいいですか」のようにKönnten Sie…?みたいな言い方は絶対しないということです。

Könnten Sieを使うのは「自分の希望をお願い」するときなので、この区別ははっきりしていると思います。別に歯医者さんとかスーパーの人はあなたに対して希望があってお願いしてるわけじゃないので変だということですね。

ニュアンスの違いは難しいですね。

でも5年後10年後と時間が流れるにつれて言語表現ってかなり変わっているので、また気づいたことがあったらシェアしたいと思います。

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