ドイツ語で「かばん」と「ポケット」ってどういうでしょう?
かばんはdie Tascheと出て来る人も多いでしょう。教科書にそう書いてあるんやからそうですよね。
じゃあポケットは?
日本語で辞書を調べたらこれもdie Tascheと出てきてあれ?となることもあるのでは。
じゃあ同じ?同音異義語?文脈によって分かりそう?まぁ確かに。
Ich habe eine neue Tasche gekauft.
という文があったらどこのたわけが「新しいポケットを買った」と訳すでしょう。新しいポケットは買えませんから、「新しいカバンを買った」という意味であるのは明白です。
ドイツ語では「かばん」と「ポケット」は同じ概念の延長なのです。どっちもTascheやねん。
Tascheの持つ意味というのは「中にモノを入れるための袋」であり、それが独立して持ち運ぶものであれば「かばん」になり、服についているものであれば「ポケット」になるだけ。日本語は使い分けていますがね。
じゃあ実際はどうやって使い分けんねん、という話ですね。
実際はドイツの日常でTascheという言葉を使うことは限られた少しの場面のみです。たとえば
Ich habe meine Tasche vergessen.
カバンを忘れた。
とか。これもさっきの買うと同じで、ポケットだけを忘れることは不可能だからね。
でもネイティブスピーカーはいつもTascheの前に何かつけてコンポジタで使います。コンポジタというのは2つの単語を組み合わせて一つの単語にするということですね。
たとえばカバンであれば
die Handtasche
ハンドバッグ
die Reisetasche
旅行バッグ(ボストンバッグ)
die Umhängetasche
ショルダーバッグ
die Aktentasche
ビジネスバッグ
die Bauchtasche
ウエストポーチ
der Rucksack
リュック
der Koffer
スーツケース
などのコンポジタがあります。
逆にポケットであれば日常で使うのはこれぐらいでしょうか。
die Hosentasche
ズボンのポケット
die Jackentasche
ジャケットのポケット
die Brusttasche
胸ポケット
die Innentasche
内ポケット
ポケットの種類なんてこんなもん?服の種類に-tascheをつければポケットになる感じだと思います。が、変な感じがするやつもある。
たとえばスカートのポケットはねー、うーんって感じ。だって日本に比べてドイツでは圧倒的に履かれてる数が少ないし、ドイツ文化っぽく考えるとスカートにポケットがあるイメージがあんまりない。だから違和感はある。
でも伝わるとは思うのでそのへんはお好きにどうぞ。
ちなみに
die Brieftasche
という単語もある。けど、これはかばんでもポケットもなくて「さいふ」だ!覚えとき!ゲーテB1のオフィシャル模擬テストの読解Teil1に出てきてるから。これが「さいふ」だと知らなかったら読解で苦労するキーワードである。
☆☆
それでは、前のページで解説した『入れる』の動詞をここで復習、応用しましょう。
「かばんやポケットに何かを入れる」という文はどうやって作るのでしょう?
動詞はかばん系にはlegenとsteckenの二択、ポケット系にはsteckenの一択です。
legenについては前回しつこく説明したように、モノや人を寝かして置く、という意味で、それを「中に寝かして入れる」というときはlegenにin+四格をつけるということでした。さらに底がしっかりしているイメージも大事だといいました。
かばんには底がありますが、ポケットには底がありませんね。だから「ポケットに入れる」ときにlegenはNGです。
ポケットには前回説明した「差し込む」の動詞steckenを例外なく使います。
いいですか。何かをポケットに入れる時はstecken一択。
かばんの場合はlegenとsteckenの二択です。それもどちらを使うかで、それを聞いた人の入れ方のイメージはこんなにも異なります↓

百閒は一見に如かず。
左の写真は
Ich habe mein Handy in die Handtasche gelegt.
右なら
Ich habe mein Handy in die Handtasche gesteckt.
です。
legenは「置く」動作、steckenは「差し込む」動作だから、底がある空間にはlegenでスキマや狭い場所にはsteckenということです。
で、今こう思った人いる?
「え?右のってカバンじゃなくてカバンのポケットに差し込んでるんじゃないの?正確にはカバンではないのでは?」と思う方もいるかもしれません。でもそれは日本語脳です。その疑問が浮かぶのはとてもいい事だと思いますが、本質をついていません。
「カバンのポケットに何かを入れる」という言い方はドイツ語ではしないのです。
なぜかというとそれは動詞で使い分けるのがドイツ語という言語なのです。
正しいところにこだわりを持てるようになろう。正しいところにこだわりを持てるようになるには、ドイツ語の感覚たるものを少しずつ身につけていかなければならないのです。これは本で勉強しているだけでは育ちません。
ここでlegenとsteckenにこだわるのは本質をついているが、カバンとカバンのポケットにこだわるのは本質をついていないことになります。それぞれの言語合った感覚、だいじ。
でも難しいけどね。
☆☆
それでは実践練習を一緒にやってみましょう。
練習1:家にどんなカバンの種類がありますか?さっきの単語を参考にして言ってみましょう。
次。
練習2:ふだんカバンを持ち歩いていますか?持ち歩いている人はその中身を見てください。持ち歩いていない人はポケットに何か入っていると思うのでその中を思い出してください。
カバンやポケットの中身にありそうな名詞も挙げておきましょう。ここから使える単語を選んでもOK。
das Portemonnaie
さいふ
der Schlüssel
鍵
die Tempos (die Taschentücher)
ティッシュ
der Kalender
手帳
der Lippenstift
リップ
die Kosmetiktasche(Kulturtasche)
化粧ポーチ
der Klappschirm
折り畳み傘
die Einkaufstüte
買い物バッグ
das Handy
スマホ
die Flasche
ボトル、びん
das Kleingeld
小銭
die Fahrkarte
切符、乗車券
der Kopfhörer
ヘッドホン
die Powerbank
モバイルバッテリー
das Ladegerät
充電器
die Unterlagen
書類、資料
das Mittagessen
お昼ごはん(お弁当)
die Visitenkarte
名刺
die Maske
マスク
das Kaugummi
ガム
die Haarbrüste
ヘアブラシ
das Haargummi
ヘアゴム
こんなもん?他にもありますか?
練習3:それでは実際に「私は〇〇をかばん/ポケットに入れる」という動作を文にしてみましょう。
なるべく自分が普段使っているカバンで、実際に持ち歩いているもので文を作ることが大事です。
新しく入れたものであれば現在完了形にしてもいいし、なるべく実際の出来事に近づけて作ってみてください。できれば!
もしあなたがA1で、文法にも慣れていないなら
Ich lege/stecke 〇〇 in die Handtasche./in die Hosentasche.
を固定して、入れる〇〇だけ四格にしてたくさん文を作る練習をしましょう。その際、さっきのかばんの写真を思い出して、legenといったらそこに置くイメージ、steckenといったらカバンのポケットの差し込むイメージ・・・と頭の中で想像しながら作ることをお勧めします。
私もちょっと例をあげておきましょう。
こんなシチュエーションよくありそうじゃない?
「名刺を胸ポケットに入れた。で、うっかりそのシャツを洗ってしまった。」
ドイツ語でなんていうでしょう?
Ich habe die Visitenkarte in die Brusttasche gesteckt.
ほら、言える。さっきの文法と一寸も変わってないですね。
その後のことも書いておきます。うっかりシャツ洗っちゃったやつ。
Aus Versehen habe ich das Hemd gewaschen.
こんな感じで、日常の自分の行為にドイツ語をどんどん使っていこう。
さらなる例文。どう入れたか、イメージしながら読んでみてね~。
Ich muss die Fahrkarte in die Reisetasche gesteckt.
Ich habe den Lippenstift in die Kulturtasche gelegt.
Ich stecke immer das Kleingeld in die Hosentasche.
Ich habe das Haargummi in die Hosentasche gesteckt, weil ich eine Pause habe.
Ich habe den Schlüssel in die Jackentasche gesteckt und ihn später nicht mehr gefunden.
☆☆
まとめ
今回の練習ではドイツ語では
「どこに入れたか」より「どうやって入れたか」のほうが重要なのだ。
なのでもっと動詞に注目せよ。動詞の意味をちゃんと区別せよ。
これがドイツ語脳の本質であります。
前のページ
動詞『入れる』にドイツ語の直訳はない。ならどうしよう?【ドイツ語動詞】
日本語の「入れる」はドイツ語で1.置く系、2.足す系、3.しまう系に分けたらどうでしょう?という私の個人的な分類です。
次のページ
動画解説
☆☆
ドイツ語は「現地の教科書」をメインに勉強することをおすすめします。
教科書をやりながらこのサイトや動画を知識の補足、補強に使ってくだされば本望です。
ドイツ語上達の助けには個人レッスンをご利用ください♪
