もういつからか覚えてないですが、数年前からドイツ語の個人レッスンで集中コースというのをやっています。
始めたときは週5で全20回というものでした。今は週4で16回が1サイクルになっています。
個人レッスンは密度が高いのでそれを週に4回も5回も来るほど集中してドイツ語を勉強できる人、またはしたい人そんなにおるかな?と半信半疑だったのですが、おかげさまでよく利用されています。(単品よりもお得なのもあるはず!)
集中コースの人は本当に頑張っている人が多い。もう無条件で応援したくなるほどに。
頑張りすぎて限界を超えてしまい、燃え尽き症候群にならないようにだけは私のほうも気を付けていますが。なんか先生っていう職業って心理学大事だよね。生徒さんの心理状態を観察するのだいじだもん。
でも言うとこははっきり言わないと今度は上達しないし。タイミング大事だし。
日本の誇りである心理学者、河合隼雄氏が教師から心理学の道に方向転換したのもよくわかる。ほんと。
燃え尽き症候群とか心が崩壊してしまうとせっかくの今までの積み重ねも崩れてしまうからね。
私が提供させていただいている集中コースはそこそこお金もかかるので、1~3か月の短期で取る人が多いかなと思っていたのですが、過去には1年以上続けて来られていた方も中にいました。本当に自習が苦手でどうしてもできないしドイツ語も苦手なので、レッスンでしか勉強しないと決めたんだそうです。
なるほど、確かに合理的な使い方だ!
そこまで全て任せるなんて私はとっても責任を感じ身が引き締まる思いでした。ゆっくり復習もしながらやってA2の途中までいったかな。残念ながらその方はすでに帰国されましたが、戻った時に少しでも勉強したドイツ語が残っているといいなと思う。
集中コースはこういう人が来るんだろうな、とかいう自分の当初の予測があんまり当たらなかったこともあり、それぞれの人がそれぞれの要求や希望を持ってるんだなぁと多様性の時代の多様な人々を感じます。先生側の柔軟性や能力もさらに問われる時代だと思います。
私側の負担といえば、集中コースはそりゃあ週1や週2の人と比べても比べ物にならないぐらい大きいです。だからたとえ時間が空いていても月2~3名が限界。
集中コースに来る人はたとえば現地の芸大に進学予定でそれまでにB2レベルが必要だから特訓してほしい、とか、今まで自己流で勉強してB1のテストを受けたが、どうしてもSprechenとHörenが受からない。なぜか分からないのでどうにかしてほしい、とか、SprechenとSchreibenは受かったが他の2つが受からない、どうにかして!とか、ドイツに引っ越すことになったのでそれまでに日常会話の練習したい、とか、いくら勉強しても全然分からないし良くなる気が全くしないので最初から基礎を鍛えなおしてほしい、とか、もう聞いただけでしんどそうな状況です。
辛い思いしているだろうな、と想像できる状況。なんとかしたくなる。そして原因は必ず(しかもたくさん)ある。
まぁそれもすべてはドイツ語が難しいのが根本的な原因なんですが、ほとんどの集中コースの人がまずぶつかる難題はこれだ。↓
今までの勉強方法を変えれるかどうか
これがまず第一関門。
目標を乗り越えるための課題をこなすには今までの勉強方法ではできない人が多いのだ。
そりゃあもう自分の今までの勉強方法を否定されるんだからプライドも傷つくだろうし、時間ももったいないと感じるかもしれないし、否定された気がして悲しいかもしれない。あまり嬉しい事ではないですよね。なにより慣れないし。
また、集中コースの人はだいたい期限があったり急いでいたりするから、その急ぎ具合によって私の厳しさも左右する。
進学する〇〇月までにB2が必要だと言った人はもう時間が半年ぐらいしかなかったので、すぐに勉強方法を変えないといけなかった。
ので、だいぶ厳しく指摘した。厳しいというのは怒鳴ったり怖い顔をしたという意味ではなく、課題やできていない箇所に細かくダメ出しをしたという意味です。私はレッスンはかなり穏やかにしておる。しかし言うべきとこは遠慮せずに言った。なので内容が厳しいという意味ですね。
それでついて来れなかったらそれはしょうがないから〇〇月までにB2は無理だよ、となる。
でもこの人は(まだ20代で柔軟だったとも思うが)すぐに言われた通りに勉強方法を変えた。それだけ必死だったんですよね。大変だったと思う。でもB2に間に合ったよ。
集中コースから半年たって、私がイタリアにいる時にこの生徒さんも来ることになり、現地で会うことができた。その時にやっぱり「最初は厳しかったよ。言語をああやって勉強するなんて知らなかった。でも信じたの」と言ってくれてとても嬉しく感じた。
この人にはドイツ語の難しさや私の意図をちゃんとと受け止める器があったんだなと思いました。
全ての人にこの人のような「がんばって受け止めろ」系の指導をしていてはダメだと思うけれど、だからといって優しいだけでも結果がでないのも難しいところ。
難しいけど全てにおいてバランスは大事ですよね。偏ってはいけない。私のほうも常に状態を見て修正しないといけないしね。二人三脚だよね。
自分の勉強方法を変えずにレッスンを受けたい人はカスタマイズコースを取れるようにはなっているので、変えたくない人はもちろんそのままでいいと思いますけどね。
そして、頑張るのも大事だけど休むのも同じぐらい大事。
休むときはメリハリをつけておもいっきり休もう。ドイツ語は例外なく長期戦ですからね。
そしてまたエネルギーを集めてからがんばっていけば、まぁいつかはいいことあるんじゃない?
テストモードと実践モードについて。ドイツ語個人レッスン日記(4)
同じドイツ語なのに学習者は実は最初から大きく二手に分かれている。ひたすら暗記することが言語習得の近道だと考えている人はちょっと立ち止まって考えてみよう。
