【ドイツ語文法4】名詞の複数形。5種類のパターン

2019年2月16日著者: Nana

英語のように一筋縄ではいかないドイツ語の複数形。複数形の変化パターンは5種類あります。

基本的にはいずれも語尾が変化します。

耳で聴きたい方は動画の解説をどうぞ!

名詞の単数形と複数形

ドイツ語文法3でやったように、ドイツ語の名詞には3つの性がありました。が、der Mann, die Frau, das Kindのように性がつくのは単数形の場合だけで、複数形には性がありません。そして語の形が変化し、すべて“die”で統一されます。(女性名詞の“die”とは別です!理由は次の章、ドイツ語文法5で理解できます。)例を見てみましょう。

der Mann(男性)→die Männer(男性たち)

die Frau(女性)→die Frauen(女性たち)

das Kind(子供)→die Kinder(子供たち)

英語のように語尾に“s”をつければ複数形・・のように単純にはいかないのがドイツ語の複数形です。単数形を覚えるときは複数形も一緒に覚える必要があり、まさに暗記地獄です。それでもいくつかのパターンが存在します。今から詳しく見ていきます。

 

複数形のパターン

ドイツ語の複数形のほとんどは、語尾に何らかのアルファベットが付け足されます。単数形と同じ形を保つ複数形も存在します。複数形の語尾のパターンは5種類に分けることができます。

・無変化

・語尾が -e

・語尾が -er

・語尾が -n

・語尾が -s

一つずつ例を挙げてみていきましょう。

パターン1)無変化:単数形と複数形の形が(ほぼ)同じ名詞

例:

単数形複数形日本語訳
der Wagendie Wagen
das Fensterdie Fenster
das Mitteldie Mittel方法
die Tochterdie Töchter
der Bruderdie Brüder兄弟

 
パターン2)語尾に -e がつく名詞

例:

単数形複数形日本語訳
der Bergdie Berge
der Briefdie Briefe手紙
der Monatdie Monate
der Gastdie Gäste
der Sohndie Söhne息子

 

パターン3)語尾に -er がつく名詞

例:

単数形複数形日本語訳
das Kinddie Kinder子供
das Buchdie Bücher
das Landdie Länder
das Eidie Eier
der Manndie Männer男性

 

パターン4)語尾に -(e)n がつく名詞

例:

単数形複数形日本語訳
die Schwesterdie Schwestern姉妹
die Flaschedie Flaschen
der Studentdie Studenten大学生
die Blumedie Blumen
die Katzedie Katzen

 

パターン5)語尾に -s がつく名詞

例:

単数形複数形日本語訳
das Autodie Autos
die Kameradie Kamerasカメラ
die Partydie Partysパーティー
das Hoteldie Hotelsホテル
der Teedie Teesお茶

 

※ウムラウトについて
一音節からなる男性または中性名詞の単語が複数形になると約9割、ウムラウトになります。(一音節の単語とは、単語の中に母音が一つしかないもの。)


複数形の作り方

複数形には5つのパターンがあることを学びました。それでは、単数形を見たときに、複数形がどのパターンに当てはまるのか、予測することはできるのでしょうか?結論から言えば、だいたい予測することができます。それも、単数形の語尾と、名詞の性から予測する方法です。

前回、名詞の性の見分け方を勉強した時に、それぞれの性の名詞に多い語尾の傾向をまとめました。これです。

・男性名詞:-ich, -ig, -ling, -er, -ismus, -ist

・女性名詞:-heit, -keit, -schaft, -ei, -ung, -e, -ik, -ion, ität

・中性名詞:-chen, -lein, -nis, -tum, -um, -ment

すべてではないですが、ここからある程度、複数形の形を予測することが出来ます。

たとえば男性名詞:-ich, -ig, -ling, → 複数形:-e の傾向が高い。

例:

単数形複数形日本語訳
der Teppichdie Teppicheじゅうたん
die Rettichdie Rettiche大根
der Königdie Könige王様
der Schmetterlingdie Schmetterlinge蝶々
der Lehrlingdie Lehrlinge見習い

 

また女性名詞:-heit, -keit, -schaft, -ung, -e, -ion, ität → 複数形:-en/-n の傾向がある。

例:

単数形複数形日本語訳
die Kindheitdie Kindheiten子供時代
die Weisheitdie Weisheiten知恵
die Kleinigkeitdie Kleinigkeiten小さなこと
die Freundschaftdie Freundschaften友情
die Erinnerungdie Erinnerungen思い出
die Leistungdie Leistungen業績
die Wochedie Wochen
die Stundedie Stunden時間
die Informationdie Informationen情報
die Regiondie Regionen地域
die Universitätdie Universitäten大学
die Realitätdie Realitäten現実

 

中性名詞:-chen, -lein の語尾の名詞は複数形も無変化。-um → -en, -ment → -e の傾向がある。

例:

単数形複数形日本語訳
das Mädchendie Mädchen少女
das Häuschendie Häuschen小屋
das Männleindie Männlein小男
das Museumdie Museen博物館
das Experimentdie Experimente実験
das Argumentdie Argumente根拠

 

しかし、ドイツ語には常にいくつもの例外があります。このような複数形の作り方があてはまるのは約80%。つまり20%は当てはまらないのです。ここでいう作り方はあくまで傾向の話であり、そのことは意識しておきましょう。しかし単数形を見たときにそれなりに複数形が自然に分かるようになることはとても大事です。

さらに、すべての単語に単数形と複数形の両方があるわけではありません。片方しかない単語も存在します。最後に複数形が作れない単語、また単数形が作れない単語はどのようなものなのか?見ておきましょう。


単数形しかない名詞

単数形しかない名詞とは主に2つの種類があります。
一つ目は具体的な単語だが、そもそも数えることが不可能なもの。たとえば「水」「粉」など。この場合はひとまとめとして、単数形でのみ表します。
二つ目はそもそも数え方がわからない抽象的な概念。たとえば「愛」や「幸せ」など。「たくさんの愛」とはいったいいくつなのか、そもそも誰も答えられません。

例:

単数形複数形日本語訳
der Regenなし
das Wasserなし
das Geldなしお金
das Mehlなし小麦粉
die Milchなし牛乳
die Liebeなし

※「お金」は数えられる概念ではないか、と思うかもしれません。しかしdas Geldという単語は「コインや札束の数」や「値段の数字」などといった具体的なものではなく、抽象的な概念です。
「お金もっとほしいなぁ」という言葉は「札束がいっぱいほしい」ではなく、漠然としたものです。だからドイツ語では“Ich möchte mehr Geld haben.”(単数形!)としか言えないのです。


複数形しかない名詞

逆に単数形が作れない名詞とは?例から見てみましょう

例:

単数形複数形日本語訳
なしdie Eitern両親
なしdie Leute人々
なしdie Kosten値段
なしdie USAアメリカ
なしdie Niederlandeオランダ

die Kosten がなぜ複数形のみなのか?ドイツ語では100円などといった商品の値段は別の単語 “der Preis”=価格という言葉を使います。
die Kostenは売っている価格のことではなく、「その商品を生み出すためにかかったすべてのコスト」をひっくるめた値段をdie Kosten といいます。

たとえば、“Die Kosten für das Produkt sind 20 Euro: 10 Euro für das Material, 10 Euro für die Arbeitszeit.”

= その商品の値段は20ユーロである。内訳は10ユーロは材料で、10ユーロは人件費。

die USA, die Niederlandeはなぜ複数形なのか?
この2つの国は政治体制が複数あるからです。アメリカが州によって法律が違うのは、政治体制が州によってある程度独立しているから。オランダもそうです。政治体制が12の州に分かれています。つまり日本的には「アメリカは一つ」という考えですが、ドイツ的にはアメリカやオランダは複数であると(文法的には)表現するようです。


まとめ

ドイツ語の名詞というのは、性の3択のほかにまだ、複数形の5択があるといった非常に凝った機能を持っていることが理解できたと思います。これだけでも英語に比べ非常に覚えることが多く、複雑に感じますね。

名詞を覚える際は例えば、Hund=犬 だけではなく der Hund=犬(男性名詞)、さらに die Hunde=犬たちと覚える必要があります。

次回、ドイツ語文法4では名詞の性はドイツ語の文法とどう関係していくのか、der, die, das, die(複数)とはいったい何なのか、について解説します。名詞の使い方がわかれば、使える表現がぐっと増えますよ!

それでは、練習あるのみ。ガンガン数やりましょう。回答はすぐ下にあります。

【初級】名詞の複数形を覚えるための練習問題【ドイツ語文法】

問題:左にある名詞を複数形にして文の中に入れましょう。 1.das Brötchen(小さいパン) Ich esse zum Frühstück zwei  (       ).

【初級】名詞の複数形をひたすら覚える(1)【ドイツ語文法】

問題1:次の名詞(単数形)の複数形の形をひたすら答えていきましょう。複数形がない名詞には「なし」と回答しましょう。 例)das Brot 回答)Brote

【初級】名詞の複数形をひたすら覚える(2)【ドイツ語文法】

問題1:次の名詞(単数形)の複数形の形をひたすら答えていきましょう。複数形がない名詞には「なし」と回答しましょう。 例)das Geschirr 回答)Geschirre

【初級】名詞の複数形をひたすら覚える(3)【ドイツ語文法】

問題1:次の名詞(単数形)の複数形の形をひたすら答えていきましょう。複数形がない名詞には「なし」と回答しましょう。 例)die Kleidung 回答)Kleidungen

ポッドキャストもあります。

 

 

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