Nachdem die Frau getankt hatte, fuhr sie mit dem Auto nach Hause.
(その女性はガソリンを入れた後、車で家に帰った。)
これは副文+主文、つまり2文からなっています。
文1)Die Frau hatte getankt.
(女性はガソリンを入れた。)
文2)Sie fuhr mit dem Auto nach Hause.
(彼女は車で家に帰った。)
どちらも過去の出来事を表す文です。
ドイツ語ではこの中で、より過去に起こったことを過去完了形(Plusquamperfekt/Vorvergangenheit)で表します。
この例だと女性がガソリンを入れた出来事のほうが、家に帰ることよりも先に起こっているため、過去完了形(Nachdem die Frau getankt hatte…)が使われています。
過去完了形の形は:
sein/habenの過去形(Präteritum)+ 過去分詞(PartizipII)
(seinとhabenの過去形はこちら)
過去完了形は、過去のある時点よりも前に起きたことを説明するときに使います。つまり2つの過去の時点がある時にのみ使うことができます。
過去完了形は日本語では「~していた」と訳されますが厳密には違います。
たとえば
✖ Ich war gestern zur Uni gegangen.
この文のように一つの過去の時点(昨日)しか入っていない時は、過去完了は使えません。
〇 Ich bin gestern zur Uni gegangen.
現在完了形が正解です。
日本語では「昨日大学に行ってたよー。」と「昨日大学に行ったよー。」どっちも普通に使えますが、ドイツ語には「昨日大学に行ってたよー。」という言い方はありません。ドイツ語に過去進行形はないので、直訳で考えると間違えます。
ではどんなときに過去完了が使えるのか?
簡単な例は
Gestern hatte ich Basketball gespielt und heute habe ich Tischtennis gespielt.
(昨日はバスケットボールをして、今日は卓球をした。)
文の中に2つの時点がはっきりとあります(昨日と今日)。
より過去に行われたほうを過去完了形にし、現在に近いほうを現在完了で表します。
また、以下のような時制を表す接続詞と一緒に使われます。
これらはすべて(1つ前の文法で習った)副文の接続詞です。一つずつ見ていきましょう。
どちらの動作がより過去か、を意識しながら読んでみてください。
nachdem(後に)
Nachdem er viel Alkohol getrunken hatte, hatte er einen Unfall.
(彼はたくさん酒を飲んだ後、事故にあった。)Nachdem sie gefrühstückt hatte, ist sie zur Arbeit gegangen.
(彼女は朝食を食べたあとに仕事に行った。)Mir war schlecht, nachdem ich den ganzen Kuchen aufgegessen hatte.
(私はケーキを全部食べ終わった後、気持ち悪くなった。)
als(したとき)
Als wir endlich am Bahnhof ankamen, war der Zug schon abgefahren.
(私たちがやっと駅に着いた時、電車はもう出発していた。)Als es gestern zum ersten Mal geschneit hatte, ging ich spazieren.
(昨日初雪が降った時、散歩に出かけた。)Als ich mein Handy verloren hatte, suchte ich ihn überall.
(私は携帯をなくした時、どこもかしこも探し回った。)
bevor(する前に)
Ich hatte noch nie Blumen gekauft, bevor ich meine Freundin kennenlernte.
(僕は彼女と知り合う前、花を一度も買ったことがなかった。)Bevor ich Fußball spielte, hatte ich ein Glas Wasser getrunken.
(サッカーをする前に一杯の水を飲んだ。)Bevor ich zur Arbeit gegangen bin, hatte ich gefrühstückt.
(私は仕事に行く前に朝食を食べた。)
ロジックで言うと、nachdemの文は副文に過去完了形があり、bevorの文は主文に過去完了形があります。まぁでも話すときはロジックで覚えてもしょうがないので、感覚的にどっちが先に起こったかというのを判断できる必要がありますね。
ちなみに文に過去の時点が二つ以上あればどんな文に使ってもOKです。使わなくてもOKです。
その他
Ich schaffte die Prüfung, weil ich in den letzten Wochen viel gelernt hatte.
(2~3週間前からいっぱい勉強してたから、テストがよくできた。)
Ich habe heute keinen Fußball gespielt, weil ich mir das Bein verletzt hatte.
(足を怪我しているので、今日はサッカーをしませんでした。)
副文weilだって場合によって使えたりしますね。
☆☆
また、過去完了形は基本的には時制のコンビネーションは自由です。
ただ論文や報告書などを書くときにどちらが過去に起こったかというのをはっきり分かりやす書かなければならない時はこの文法が大事です。これしかない、という場面も多々あります。
しかし日常の会話なら2文がくっついている時の時制のコンビネーションは割かし自由。
私も過去完了は多用しません。
これだけ自由です。
〇 過去完了形+過去形
〇 過去完了形+現在完了形
〇 過去形+過去形
〇 現在完了形+現在完了形(一般的)
〇 現在完了形+過去形
× 過去完了形+過去完了形/現在形
ただし、2文とも過去完了形だけの文は存在しませんね。
まとめ
・より過去の文を過去完了形にする。
・主文と副文の順番はどちらでも良い。
・より過去に起きたほうを過去完了にさえすれば、もう一つのほうは過去形でも現在完了形でも良い。
しかし一方で、上にあげた過去完了の入った例文は、すべて現在完了のみで表すこともできます。
(例:Bevor ich Fußball gespielt habe, habe ich ein Glas Wasser getrunken.)
むしろ話し言葉では現在完了+現在完了のほうが手軽に使われます。
ドイツ語の時制の現在形と現在完了形の範囲がいかに広いかを今いちど、思い起こさせますね。
過去完了は実際に使うよりも、理解しておくだけで十分に足りる文法かもしれません。
それでは練習問題をやってみましょう。回答は一番下です。
【初級】過去完了形の練習問題-Plusquamperfekt-【ドイツ語文法】
次の2つの文を過去完了形の入った1つの文にしてみましょう。 (副文の接続詞:nachdem, bevor, als, weil などを使います)
動画解説はこちらです。
☆☆
ドイツ語は「現地の教科書」をメインに勉強することをおすすめします。
教科書をやりながらこのサイトや動画を知識の補足、補強に使ってくだされば本望です。
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現地での日常会話を目指す人用のおすすめ教科書↓
☆☆
できれば辞書もそろえよう。
ドイツ語辞書はなんといってもカシオの電子辞書が優秀で便利です。私も語学学校時代や大学時代に肌身離さず持ち歩いているほどお世話になっていました。AIは発言に責任を持たないので。
ドイツ語のインストールが必要です。紙の辞書より高額ですが軽く小さい一台で便利なのでずっと愛用しています。2台持ってる!

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