ドイツ語の「gehen=行く」と「kommen=来る」は時々、日本語のそれと使い方が異なります。
いきなりですが分かりやすいのがセックス。
日本人はフィニッシュのときに「イク」という表現を使いますが、ドイツ人は「来る」と表現します。英語でもそのようですね。
「行く」と「来る」という動詞、どちらの語をどの場面で使うのかは、各国語によって違いがあります。
ドイツ語初級者の日本人がやりがちな間違いや、日本語初級者のドイツ人がやりがちなミスも、母語を直訳することから生まれることも多いのです。日本人が間違えがちなドイツ語の例文はこちら。
A:Wo bist du gerade? = 今どこ?
B:Ich komme gleich! = すぐ行く!
日本語だと「すぐ行く!」という場面でドイツ語は「すぐ来る!」といいます。あなたのところに来る、というニュアンスですね。
A:Gehen wir morgen zu dir oder zu mir? = 明日そっちに行く?それともうち来る?
B:Ich komme zu dir. = そっちに行くよ。
これも「私があなたのところに行く」という私を主体にした表現が、ドイツ語だと「私があなたのところに来る」という相手主体の表現に変わります。
もうひとつ。「私が行こうか?それともあなたが来る?」という日本語は主語が一人称ですが、ドイツ語は「私たちは(wir)そっちに行こうか?それともここで?」という言い方をします。一緒に行くわけではないので非論理的ですが、一人称複数になる、ということもできれば覚えておくと自然な会話ができます。
A:Wann kommst du zurück? = 何時ごろ帰ってくる?
B:Ich komme um 18 Uhr nach Hause. = 18時に家に帰るよ。
日本語だと「帰る」という表現もドイツ語ではkommen(来る)が使われることが一般的です。「今から帰る」とはドイツ語では「今から来る」といいます。
つまり、日本語では「行く」や「帰る」と表現するのにドイツ語で「来る」と表現する場面は
1.お互いが離れていて
2.一方が他方に向かうとき、
行く人が日本語なら「行く」といい、ドイツ語では「来る」という。
混乱したら「私は(今から)あなたのところに現れる」状況なときは“kommen”を使う、と認識するとよいかもしれません。
大学や仕事または一緒に遊ぶなど、今顔を合わせている相手に対して「そろそろ帰るわ~」というときは
Ich gehe langsam nach Hause.
といいます。
同じ「帰る」でも相手がどこにいるかで“kommen”というのか“gehen”というのか、変わるのがドイツ語だということですね。
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